2014
04.05

「誓い」

TA後のエジリディss第4弾です。今回はほのぼの系ですよ(^^)







「誓い」



久しぶりに行ってくるか―――



「じい。」
「はっ、お館様。」
「ちっと墓参り行ってくるわ。決裁が必要なもんは、机の上に置いといてくれ。」
「かしこまりました。…奥方様も御一緒に行かれるのですか?」
「いや、俺1人でいい。場所が場所だからな。」
「そうですか…。ではお気を付けて。」


月の大戦の折、エブラ―ナを襲撃したルビカンテの部下・ルゲイエによって魔物に改造されたエッジの両親。エッジは彼らを苦しみから救うため、自らの手で両親の命を絶った。


あれから10数年が経ち、エブラ―ナは復興し、真月の戦いの際はイフリ―トの襲撃を受けたものの、エッジとリディアの活躍によって大事には至らなかった。現国王であるエッジの元、エブラ―ナは先王の時代よりも着実に発展している。エッジはどんなに自国が栄えても、自分を育ててくれた両親への感謝の気持ちと失った悲しみを忘れたことはなく、王となった今でも、墓参りを欠かさなかった。


エッジは墓のあるエブラ―ナの洞窟に行くため、部屋に戻って黒装束を身に付け、愛用の刀2本を腰に付けた。平和になったとはいえ、洞窟内はモンスタ―がいる。

「さてと、行ってくるか。」

エッジは城の出口へと向かった。すると城門には…

「エッジ~、お散歩行くんなら私も連れてってほしいな~。」

妻リディアが待っていた。
「わっ、リディア!」
エッジは思わず飛び上がってしまった。

何やらリディアは不満げな顔をしている。
「…何だよ?」
「何だよじゃないわよ。どうして1人で行くの?」
「…危ねぇからだよ。」
「危ないんならなおさら1人で行っちゃダメじゃない…。」

エッジは頭を掻いた。
「言っとくけど、ただの散歩じゃね―ぞ?エブラ―ナの洞窟に行くんだぞ?」
「…ご両親のお墓参りでしょ?」
(じいや…俺1人で行くって言ったじゃねぇか…。)

「エッジ?」
「ん?あぁ、そうだぜ。」
「…私も行く。」
「いや、だからエブラ―ナの洞窟に行くから危ないって―の!」

そう言われたリディアの瞳は潤み出した。
「何でそんなに私のこと足手まといのように扱うの?私だってモンスタ―と戦えるのに…。」
「…だから、その…。」

エッジは自分の両親のことだからと、リディアに気を遣わせたくないのだ。しかも墓はモンスタ―の巣食う場所にあるため、大事なリディアに怪我などさせたくない。

「エッジのご両親は、今は私の両親でもあるのよ。エッジは私のお母さんのお墓参り、何度もしてるのに、私はエッジのお父さんとお母さんのお墓参り行っちゃダメなの?」

エッジはもう言い返せなかった。リディアはこうと決めたら聞かない性格なのを知っているからだ。

「ん―、分かったよ。じゃあ一緒に行こう。」
リディアはぱっと笑顔になった。
「やったぁ、嬉しいな!」
「…その代わり、俺から絶対離れるなよ?モンスタ―がいるんだからな。」
「うん、離れないよ…。」

(おぉ…。)

リディアはそう言って、エッジの腕にぴったりとくっついた。こういう行動がエッジをドキドキさせる事を自覚していないあたりが小悪魔である。

「行くぞ?」
「うん。」



2人はエブラ―ナの洞窟に着いた。薄暗い道を警戒しながら奥へと進んで行く。すると…

「…!!」
「…出たな。」

不死系のモンスタ―がウヨウヨと現れた。リディアがファイラの詠唱に入ろうとした時、
「リディア、下がってろ。」
「え?」

「……火炎陣!!!」

エッジが放った大きな炎がモンスタ―達を包み込み、あっという間に焼き尽くした。

「ど―だ、すげえだろ?」
エッジが得意気にリディアを見た。
「…うん。」
「お?認めるのか?」
「だって詠唱の時間が黒魔法よりもずっと短いのに、この威力なんだもん…。エッジ、すごいね。」

リディアに素直に褒められて、エッジは複雑だった。以前なら調子に乗るなこのバカと一蹴されていたというのに。

「ん―…何かお前にそう言われると調子狂うなぁ。」
「何で?褒めちゃいけなかった?」
「いや、そうじゃねぇけどよ。いつもならバカって言われてたなぁと思って。」

そう言われたリディアは、ほんのり頬を赤らめた。真月の戦いの時からエッジの忍者としての実力、そして一国の王としての器の大きさを目の当たりにして、リディアはエッジをますます慕うようになったのだから。

「だって、本当にすごいんだもん。エッジ何でもできるし、それに…。」
「それに?」
「…恥ずかしいから言わない。」
「な、なんだよ。」
「いいじゃない。ほら、行こうよ。」


その後もモンスタ―達が襲ってきたが、エッジの素早い応戦で、リディアの出る幕はなかった。
(エッジ…すごいな…。)


そしてしばらく進むと―――


「ほら、着いたぞ。ここだ。」

蝋燭にうっすら照らされた大きめの空洞に、墓標があった。2人は墓標の前に行って跪き、手を合わせた。

(親父、おふくろ…俺は元気にやってるからな。どうかこれからも見守っていてくれ。)

エッジは心の中で両親に話しかけた。リディアはずっとその姿を見ていた。
(エッジ…。あんな形でご両親亡くしたんだし、本当に辛かったよね。)

リディアは同じ親を亡くした者として、両親を自らの手で討ったエッジの姿を鮮明に覚えていた。どんなに時間が経ち、親を失った悲しみは小さくなることはあっても消えることはない。リディアはそれが痛いほど分かるだけに、エッジに寄り添いたい気持ちになる。

「親父、おふくろ…。」
エッジが声に出して両親に話しかけ始めた。
「こいつは俺の妻のリディアだ。月の大戦の時からずっと好きで好きで堪らなくて、最近やっと結婚したんだ。こいつのおかげで俺は今、すげぇ幸せに暮らしてる。親父とおふくろが仲良くしてたように、俺はリディアと死ぬまで仲良くしたいと思ってる。だからどうか、俺たちの事を見守っていてくれよ…。」

そう言って、再びエッジは墓標に手を合わせた。
「エッジ…。」
リディアはエッジの言葉に胸がきゅっとなり、頬はみるみる真っ赤になった。それを見たエッジはふっと笑う。
「まだお前を正式に親父とおふくろに紹介してなかったからな。」
「そうだったね…。もう、エッジったらあんな大げさに言って…。」
そう言って、恥ずかしそうな顔をするリディア。

「大げさじゃねぇぞ?あれは俺の本心だからな。」
「…バカ。」
「いいじゃねぇか…。」
「ふふ…。ねぇ、エッジ?」
「あ?」
「どうしてここにお墓作ったの?もっと陽のあたる、あったかい場所があるのに…。」

「…親父とおふくろは、生前から影に生きる忍びの一族として、自分達が死んだら影となる場所に墓を作って欲しいって言ってたんだよ。俺はお前の言うように、陽のあたる場所に作ってやりたいと思ったけど、2人の遺志は無下にできねぇと思ってさ。だからここに作ったってわけよ。」

リディアは神妙な面持ちで頷いた。死後も忍びとしての道を選んだエッジの両親。それにはただただ敬服するしかなかった。

「エッジは…もし死んだら、お父さんやお母さんと同じように、この洞窟の中にお墓作って欲しい?」
「う―ん、まだ全然考えてねぇけど…俺はお天道様が好きだし、陽のあたる場所がいいかな。あんまり忍びらしくねぇけど。」
エッジは苦笑した。

「そっかぁ…。」
「…何だよ?もう俺が死んだ後のこと考えてんのか?」
エッジが軽く笑いながら言った。

「ううん、どうなのかなって思って。」
「ふ―ん。お前は?」
「え?」
「お前はもし自分が死んだら、どこに墓作って欲しいんだ?」
エッジにそう聞かれると、リディアは胸がドキドキしてきた。
「あ、えっと…私はね…。」
「やっぱり、ミストか?」
「ううん…あの…。」
「?」




「エッジと一緒なら…どこでもいいよ…?」



もじもじとしながら紡ぎ出されたリディアの答えに、エッジは胸を撃ち抜かれたような気持ちになり、精悍な顔がみるみる緩んでいった。

「そ、それは…あの世に行っても俺と夫婦でいてくれるってことか…?」
エッジにそう言われて、リディアはコクリと頷いた。エッジはリディアの手を握る。

「ありがとな、リディア…。」
「うふふ。…エッジこそ、天国に行っても、私の旦那さんでいてね?」
「…当たり前だ。」

2人は再び墓標に手を合わせた。

(エッジのお父さん、お母さん、私はエッジと結婚できてすごく幸せです。お2人のように、これからもずっと仲良くしていきます。どうか見守っていて下さい。)

リディアは義両親に、心の中でそう話しかけた。これから自分はエッジの妻として、彼に寄り添って生きていくんだという思いが湧き上がってきた。

「リディア、そろそろ帰るか?仕事しなきゃな。」
「うん。」

リディアはエッジにぴったりとくっついた。
「ったく、お前は甘えん坊だな。」
リディアの頬をエッジが指でつつく。

「…エッジが離れるなって言ったんじゃない。」

「…そうだな。じゃ行くぞ?」
「うん!」

2人は洞窟の出口に向かって歩き出した。



亡き両親の前で、永遠に夫婦でいると誓ったエッジとリディア。この先何があるか分からない。それでもこの人となら一緒にいたい、その想いが2人の中にある限り、エブラ―ナ王国の平安は守られるだろう。


―完―

















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