2014
04.27

「Full Moon in Late Autumn」★

リディアが好きで好きでたまらない病のエッジ。「The Expiration」の続きです。エロシーンありです、ご注意下さい。






「Full Moon in Late Autumn 」





「ねぇ、エッジ。」
「ん?」
「忙しいところごめんね。あの…。」
執務室で仕事をしているエッジにリディアが遠慮がちに話しかけてきた。
「何だよ、聞いてやるから言えよ。」
笑顔でリディアを見つめるエッジ。するとリディアが話し出す。



「私…ミストに帰りたいの。」




「え…?」


驚くエッジに、リディアは話を続ける。
「久しぶりにミストに行って思ったの。やっぱり私はミストに住みたいんだって。」
エッジの身体が震えだした。

「リ、リディア…そ、それは…。」
言葉に詰まるエッジを見て、リディアはふっと笑った。

「エッジ、短い間だったけどありがとう。すごく幸せだったよ。」
リディアは左薬指の結婚指輪を抜き始めた。

「ま、待ってくれ!!…俺、何かお前の気に入らねぇことしたか!?」
リディアは首を横に振る。

「じゃあエブラーナでの暮らしが気に入らなかったのか?もしそうなら言ってくれよ!俺が何とかするからよ!」

次第にリディアが無表情になっていく。

「誰だって自分の故郷が1番に決まってるじゃない。エッジだって、エブラーナが1番でしょう?」

そう言われ、エッジはビクッとする。
「そ、そりゃそうだけど……なぁリディア、考え直してくれよ…お前がここにいてくれるなら俺は何でもする。だから頼むよ…!」

結婚指輪を抜き終えたリディアは、それをエッジに渡した。エッジはどうしていいか分からず、ただリディアの足元に縋り付き、涙を流す。

「リディア…ミストに帰らねえでくれ…エブラーナに…俺のそばにいてくれ…!」

好きで好きでたまらなくて、やっと結婚できたのに。必死に訴えるエッジを振り払い、リディアはすたすたとその場を去っていく。



「リ、リディア…待ってくれ…リディアーーー!!!」











「…?」

リディアの姿が見えなくなった後、ぼんやりと見覚えのある天井が見えた。

(あれ…?)

瞼が重い。そして身体も何となく重い。


ゆっくりと呼吸したエッジは、自分がベッドの上にいることに気付く。



ふと隣を見ると、リディアが寝息を立てていた。


(なんだ、あれは夢か…。)


夢など大抵目を覚ますと忘れてしまうというのに、内容が内容だけに、エッジの脳裏に染み付いている。魘されて汗をかいてしまったようで、寝間着の襟元と背中がうっすら湿っていた。


今何時かと思い時計を見ると、そろそろ朝の稽古の時間だった。

(はぁ…起きるか。)


目覚めが悪く、身体が重い。エッジはいつもよりもゆっくりとしたペースで着替え、寝室を出た。


稽古場へ向かう途中、エッジはあんな夢を見てしまうなんて何と自分は情けないのだろうと思った。昨日のミストからの帰り道、リディアが名残惜しそうな表情をしているのを見て、もしかしたら本当はミストに帰りたいのではと不安な気持ちにはなっていたから、それが夢になって現れたと考えれば不思議ではないのだが。



もう結婚したというのに、今でもエッジは時々リディアが自分の手の届かない遠くへ行ってしまうのではないかと不安になることがあった。自信家で前向きな性格のエブラーナ国王だが、リディアのこととなると事情が違う。


好きで好きでたまらなくて、どうしても失いたくない。だからふとしたことで不安になってしまう。


(あんな夢見るなんて…俺、完全に病気じゃねぇか…。)


ため息を付きながら、朝の稽古を始めるエッジだった。






そしてその日からエッジは仕事が立て込み、深夜まで執務室にこもる日が3日ばかり続いた。






「さて、今日はこのへんにしておくか…。」


夕食後2時間ばかり仕事を進めた後、キリのいいところでエッジは風呂へと向かった。


リディアはもう風呂には入ったのだろうか?今何をしているのか?と、仕事からひと段落し、気が緩んだ途端に彼女の事を考えるエッジ。無意識にそうしている自分にハッと気付き、ため息をつく。完全にリディアが好きで好きでたまらない病である。



「ちょっと頭冷やすか…。」



風呂から上がったエッジは少し気分を落ち着けようと、城の屋上に上がり、晩秋のひんやりとした夜の空気に当たっていた。


空を見上げると、そこには美しい満月。


(きれいだな…。)


満月を見ていると、何か不思議なパワーをもらっているような気になる。科学的根拠はないらしいが、人間は月の満ち欠けに精神的な影響を受けると言われるのはあながち間違いでもないのだろう。



月の光を浴びている内に湯上りの身体から程よく熱がひき、エッジは寝室へと向かった。








部屋に入ると、明かりは消えており、ベッドのすぐそばにある窓から差し込む満月の光だけが部屋を照らしていた。


(あれ、リディア…もう寝てんのか?)


部屋の奥へと歩いて行くと、リディアがベッドの上に座って窓の方を向いてるのが見えた。

「あ…エッジ、今日は早かったのね。」
「よう、リディア。」

リディアも満月を見ていたようである。

「エッジ、今夜はきれいな満月よ。」
「ん、あぁそうだな。」


エッジもリディアの隣に座り、一緒に満月を見る。


「きれいだな。」
「うん…。」




特に会話を交わさずとも、リディアと一緒にいるだけで幸せな気分になってくるエッジ。ふと、リディアの方を見ると、彼女は美しい翡翠色の瞳でじっと満月を眺めている。


(こいつは今…何を考えてるんだ?)


自分は今この瞬間は幸せなのだが、リディアはどうなのかと思ってしまう。


(これじゃ俺、リディアの事を疑ってるだけじゃねぇか…。)


愛する妻を信じていない自分の器の小ささに、内心呆れるエッジ。


「エッジ?」
「ん?」
「…どうかしたの?」

「あ?…何でもねぇよ。」


あんな夢を見たなんて知られたら、リディアのことを何でも受け入れてやると言っておいて、何と器の小さい奴かと思われるに違いない。何となくリディアの顔が直視できず、再び顔を上げて月を眺めるふりをするエッジ。





「エッジ…。」
「うん?」


リディアがエッジの手にそっと触れた。


温かい―――。


リディアの手の温もりを感じていると、彼女はエッジに身を寄せ、彼の右腕にキュッとしがみつき、自分の胸元に引き寄せた。


(おぉ…?)


リディアの胸のふくらみの柔らかい感触に、思わずエッジの下半身の一部が反応する。伏し目がちにしていたかと思うと、すっと上目遣いでエッジを見つめた。


あまりの可愛さにドキドキのエッジは、身体をリディアの方に向け、思わず左手で彼女の頬を包み込む。触れた色白の頬はきめ細かい肌で、エッジの手に吸い付くような感触。


じっと見つめ合っていると、リディアが静かに目を閉じた。




それを見たエッジはリディアを抱きしめ、優しく口づけした。するとリディアは物足りないと言わんばかりにエッジの首の後ろに腕を回し、角度を変えながら唇をより深く重ねてきた。

ちゅうっ、ちゅくっ、ちゅううぅっ…

(すげぇ吸い付きじゃねぇか…たまんねぇ…。)

満月の影響なのか、いつもは自分からしているような扇情的な口づけを今日はリディアがしてきてくれる。エッジはリディアの背中に回した手を腰の辺りへと下げていき、腰からお尻にかけてをゆっくり撫で始めた。


「あっ…エッジ…。」

リディアがピクンと反応した。

「ん、気持ちいいのか?」
「うん…。」

エッジはリディアの下半身を撫でながら、再び口づけをする。舌をリディアの口腔内に侵入させ、彼女の舌と自分のものを絡めようとすると、リディアもそれに応じた。

ちゅぷっ、ちゅぷ、ちゅぷ…

いやらしい音が響き、エッジもリディアも気持ちが高ぶっていく。さっきまでリディアの腰周りを優しく撫でていた手は、弄るように動き出す。舌を絡め合っている間、リディアの手がエッジの寝間着の襟元に伸びてきた。

(お…?)

リディアはエッジの寝間着の胸元を押し開いた。エッジの鍛え上げられた上半身が露わになると、リディアは彼の肩から腕や胸、お腹を撫でるように自分の白い華奢な手を滑らせた。

「あぁ…。」

思わずため息のような声を出すエッジ。リディアの細い指がエッジの乳首回りをゆっくりとなぞる。

「うぉ…。」
「…気持ちいい?」
「ん…。」

(あぁ…リディア、俺は幸せだぜ…。)


リディアのことが好きで好きで、何度も夢に見た彼女からのアプローチ。


エッジはいつも夢から覚めるたびに、ふわふわとした緑の髪をなびかせる色白で美しい翡翠色の瞳に長い睫毛の愛しい女性の事を想い、虚しさだけが増した。



いつかエブラーナに妻として迎え、一緒に暮らせる日が来ることをただ願い続けた10数年の思い出が頭を過った。




(夢じゃ…ねぇんだよな…?)




エッジはリディアをぎゅっと抱きしめる。そして彼女が今、自分の妻としてここにいることを確かめる。



リディアから香ってくる、甘く優しい匂い。



トクントクンと伝わってくるリディアの鼓動。




夢じゃない。




リディアは確かに俺の腕の中にいる―――





エッジの目頭に何か熱いものが込み上げてくる。



思わず目を瞑った。





「…エッジ?」

リディアの細い指が、エッジの頬をなぞる。


ゆっくりと目を開けたら、リディアの顔が霞んで見えた。



「エッジ…泣かないで。」


リディアの一言で自分が涙を流していることに気付き、慌てて拭った。

(俺、何で泣いてんだよ…だせぇな…。)

「…悪りぃ。何でもねぇよ。」
「…。」



ふと、3日前の悪夢を思い出す。



(リディア…俺のそばにいてくれ…!)



そんなことを考えていると、リディアはエッジの手を握り、自分の胸の前にもってきた。彼女の左薬指にある自分と揃いの結婚指輪が、月の薄明かりに照らされて光っている。


(くそっ、何であの夢を思い出すようなことばっかり…。)



リディアの結婚指輪を見つめるエッジに、彼女はふっと微笑んだ。

「エッジ、泣かないで。私はここにいるよ。」

「え…?」


自分の心を読まれたのか?いや、まさか…


「私はエッジのそばにいるから大丈夫よ。」


そう言ってリディアは握っていたエッジの手を、自分の胸に当てる。

「ほら、ね?」



柔らかい
温かい



エッジは手から伝わってくるリディアの胸の温もりを感じ、全身が痺れてしまいそうだった。


リディア

リディア…

リディア…!!




愛しい女性の名を、何度も心の中で叫ぶ。




リディアは、俺のそばにいる―――





「あっ、エッジ…。」
「はぁっ、リディア…!」


リディアがここにいることをもっと感じたい一心で、エッジは彼女の素肌に触れようと寝間着の浴衣を肩からずり下げ、そこから姿を現した形のいい豊かな胸のふくらみを必死に揉みしだいた。



「はぁっ、エッジ…!」



リディアは悶えながらも両手でエッジの頬を包み込み、彼に口づけする。

「んっ…ふぅっ…!」


口づけしながら鼻から抜けるリディアの吐息は艶かしく、エッジを猛らせていく。





リディアの柔らかなふくらみをしばらく揉みしだき、エッジは次第に平静さを取り戻した。
するとリディアが再びエッジの首の後ろに腕を回し、身体を密着させ、彼の唇に自分のそれを深く侵入させてきた。


(リディア…?)






リディアがやっとのことで唇を離した。エッジはなぜ彼女が今夜こんなに積極的なのか疑問をもった。



「…お前、今日どうしたんだよ?すげぇエロいじゃねぇか。」




リディアは何か考えた様子で話し出す。



「…だって、エッジはしばらく仕事大変だったし、私も寂しかったし、今夜はエッジといっぱいしたくって…。」



「…それだけか?」



勘のいいエッジは、リディアの言葉の裏を的確につく。リディアは何となく、エッジから視線を反らした。


「…何だよ、言えよ。」




「……ミストに行った日の夜中に、エッジが魘されてたから…。」
「…え?」



エッジはギクリとする。


「エッジが泣きながら、『リディア、ミストに帰らねえでくれ。俺のそばにいてくれ』って…。」

リディアは魘されるエッジの頬を伝う涙を拭ってやり、静かな寝息を立てるようになるまでずっと彼の手を握り、見守っていたのだ。






「マジかよ…。」


自分が譫言を発していたなんて。話を聞いたエッジは自分からリディアをミストに連れて行っておいて、決まり悪い以外の何でもなかった。


(俺…小さ過ぎるな…。)


エッジは思わず下を向いて顔を両手で覆う。こんな器の小さい自分を見せていたなんて。どう弁解しようか悩んでいると、リディアがそっとエッジの身体に身を寄せた。


「だから、私はエッジに安心してほしくて…。」

大きな翡翠色の瞳を潤ませながらエッジを見つめるリディア。


「そうかそうか、器の小せえ旦那が泣いててあまりに可哀想だからサービスしてあげなくちゃって思ったんだな?」

妻に気を遣われ、自嘲するしかないエッジ。

「エッジ…ごめんね。私がエッジに都合良く甘えてるから…。」
「…いや、お前は謝らなくていい。俺の問題だ。」

リディアを直視できないエッジ。さっきまで高ぶっていた気持ちも、どこかへ行ってしまった。


(くそっ…かっこ悪りぃ。どうすりゃいいんだよ…。)


ちゅっ。



リディアの唇が、エッジの頬に触れていた。エッジがはっとリディアの顔を見ると、リディアの翡翠色の瞳は潤み、形のいい可愛らしい唇は、何か言いたげに微かに動いている。

「あぁ、リディア…俺のことは気にすんな。またミストに行こうぜ。」


自分の元に来てくれたリディアを信じてやらねば―――。


エッジはにっこりと笑い、リディアのふわふわとした緑の髪を撫でた。だがリディアはエッジを真っ直ぐに見つめたままだ。


「リディア?」


「…もう、それ以上言わないで…!」

リディアはベッドの上で膝で立ち、細く白い腕を広げ、はだけた自分の胸にエッジを抱いた。


ふわふわと温かく柔らかな感触がエッジを包み込んだ。


リディアの手が、優しくエッジの髪を撫でる。


「…もう何も言わないで。笑顔なんて作らないで…!」

エッジはいつもリディアの事となると、自分の気持ちを押し殺してしまう。このまま話し合っても、彼は意地を張るだけだと思ったのだ。


リディアはエッジと頬をすり合わせ、何度も口づけした。

「リディア…?」




私はずっと、あなたと一緒にいるよ―――




その想いをエッジに感じて欲しくて、リディアは再びエッジと唇を重ねた。
それはとても優しく、何度も繰り返された。


ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ…


エッジはただリディアの行為を受け入れ、すがるように彼女の背中に腕を回した。


言葉で伝えようとすると素直になれなかったり、ぶつかったり。だから、今はこうして自分の想いをエッジに伝えたい。



いつもは、あなたが包み込んでくれるけど、今日は私にそうさせて―――











エッジはリディアの胸に抱かれたまま目を閉じていた。やわらかな月の光の下で、彼は穏やかな表情でゆったりと呼吸している。リディアはエッジが眠ったのかと思い、そっと顔を覗き込むと、エッジは忍者として鍛え上げられた感覚でその気配を感じ、目を開けた。

「はっ…エッジ。」

「…忍びの長をなめんじゃねーぞ。お前の動きは全部感じてんだぜ?」

驚いたリディアを見てエッジはふっと笑う。

エッジはリディアに預けていた身体を起こし、じっと彼女を見つめた。

「俺がお前に抱きしめられるなんてなぁ…。」

少し笑いながらも、どことなく決まり悪そうな表情。

「…ダメだった?」
リディアはしゅんとした顔でエッジを見つめた。

「んー…たまにはいいかもしんねぇな。」

頭を掻きながらそう言うエッジを見て、リディアはベッドに腰を落とす。どう会話を続ければいいかリディアが思案していると、エッジの手がいつの間にかリディアの腰周りを撫でていた。

「きゃっ、エッジ…!」
「お前は本当隙だらけだよなぁ。そこが可愛いんだけどよ。」

そう言ってニヤリと笑うエッジ。自分の気配に気付かれないように動くことは、忍びとしての基本であるため、エッジにしたら何てことはなかった。

「やだぁっ、エッジのスケベ…。」
「自分から誘っといて何言ってんだよ、分かんねぇ奴だな。」


ちゅっ、ちゅぅぅっ、ちゅくっ、ちゅぅぅぅ…


エッジは頬を赤らめるリディアをぎゅっと自分の方に抱き寄せ、さっきリディアがしたよりもずっと深く、熱い口づけをした。

(やだ…蕩けちゃいそう…。)



エッジの唇がリディアの耳朶から首筋を食んでいく。くすぐったさに、リディアはピクピクと反応した。

「…もっと感じたいか?」

エッジが耳元で囁いてきた。リディアがコクンと頷くと、エッジはリディアの寝間着の浴衣の腰紐を外して脱がせ、ショーツもするりと脱がせてそのままベッドに組み敷いた。



今夜は自分がリードして奉仕して、エッジを安心させたいと思っていたのに、もう主導権を握られてしまった。


エッジはリディアの両手首を掴んでベッドに押し付け、彼女の胸のふくらみに佇む蕾を口に含み、何度も舌先で弾くように舐めた。

「やぁぁぁっ…!」

リディアはたまらず腰をくねらせ、秘所の奥が疼き両脚を捩る。刺激に耐えられず、リディアの蕾はぷっくりと硬さを増した。エッジは反対側も同じように舌先で弄ぶと、硬くなった蕾を指できゅっと挟んでやった。

「よく感じてるじゃねぇか…しっかり立ってるぜ。」

満足そうにニヤニヤとするエッジ。その手がリディアの両脚の間にそっと伸び、小さな茂みに触れた。それにピクンと反応するリディアに気を良くしたエッジは、指をするすると彼女の秘所に滑り込ませていった。するとエッジの指先には温かく、とろりとした蜜が絡みつく。

「…すげぇ。こんだけ濡れてりゃ気持ち良さそうだな、くくくっ…。」


己の性欲のままに言葉を発するエッジは、満月の夜に雄叫びをあげる狼そのもの。さっきまでの決まり悪そうな表情など、見る影もなかった。


次の瞬間、エッジは寝間着のズボンと下着を一気に脱ぎ去り、何も言わずにリディアの両脚を広げて押し入ってきた。

「あぁぁぁっ…!」

あっという間に奥まで貫かれたリディアは、エッジの熱さと硬さに身震いした。それを見たエッジはリディアの肩を掴み、満足そうな表情で腰を揺らし始めた。


たっぷりと自分に絡むリディアの蜜が滑りを良くし、ぬぷぬぷと中を行き来するエッジの身体に快感が次々と流れ込んでゆく。


「あぁっ…すげぇ気持ちいい…!」


リディアも結合部からどんどんせり上がってくる快感に浸り、もうこのままエッジと一緒に果てていこうと思い、目を閉じた。





「うっ…。」


エッジの小さく、低い呻くような声がリディアの耳に止まった。リディアが翡翠色の瞳をそっと開くと、エッジは律動を停止し、首を垂れていた。エッジの表情がどこか苦しそうに見えたので、リディアは何が起こったのかと心配になった。


「…エッジ?どうしたの?」
「…いや、何でもねぇ。」


そう言って再び律動するが、またすぐに動きを止め、俯き、深く息を吐きながらリディアの肩に顔を埋めてきた。

「エッジ…どこか痛いの?」


リディアが軽く息を切らせるエッジの頭を撫でながら尋ねても、彼は何も答えない。

「黙ってないで教えてよ…。どうしたの?」

エッジがゆっくりと身体を起こし、今までになく余裕のない表情でリディアを見つめた。そしてか細い声で話し始める。


「…すまねぇ、リディア、俺…。」
「うん?」


リディアはエッジを優しく見つめた。するとエッジが口にしたのは…



「悪りぃ…俺…もうイッちまう…。」



苦しさの中に、情けなさを含んだようなエッジの表情はもはや雄々しい狼のものではなかった。数日間ご無沙汰だったのと、愛する妻に決まり悪い姿を見られて精神的に参ってしまったからなのか。リディアはエッジの顔を見て、思わずふっと笑みをこぼした。

「もう、エッジったら…。」

そう言ってリディアはエッジの首の後ろに腕を回して自分に引き寄せ、彼にそっと口づけした。



「…我慢しないで。」

エッジを縛る理性の箍を外してやろうと、耳元で囁く。

「いいのか…?」

リディアは小さく頷いて優しく微笑んだ。

「…たまにはいいじゃない。」

そう言って、エッジの首の後ろに回した腕にきゅっと力を込める。

それを感じたエッジは、ゆっくりと腰を揺らし始め、徐々にスピードを上げていく。結合部はリディアの蜜とエッジのモノが擦れ合い、もうぐちょぐちょである。

「んっ、あっ、はぁっ、エッジ…!」
「リディア…リディア…!」

リディアを突き上げるエッジの先端は彼女が感じる部分を捉えていたが、どことなく切ないような気持ちをはらんでいて、それは快感と共に、リディアの身体にじわりじわりと伝わってきた。


エッジは精悍な顔を歪めて歯を食いしばり、ますます苦しそうだった。我慢しなくていいと言葉で分かっていても、まだ男としてのプライドや理性が働いているようだ。


「くはっ…!はぁっ…はぁっ…!」


いつもより早い、大きい快楽の波に呑まれそうになりながら必死に耐えているのが分かるような息遣いのエッジ。

リディアはそんな姿を見て、早くエッジを楽にしてやりたいと思い、彼の背中をさすってやる。

(エッジ…!)

速度の落ちたエッジの腰の動きが、また早くなってきた。


リディアの耳元で響く、エッジの必死な息遣い。彼が自分にもたらす快感に悶えながら、どうすればエッジを解放してやれるか考える。


「あっ、あぁっ、エッジ…わ、私…。」


リディアの声を聞き、エッジが彼女の顔を見つめた。


「私…んんっ…エッジのこと…大好きだから…全部受け止めたいの…っ!!…あぁんっ!…だから…。」


だから、もう苦しまないで―――




それが声になったかなってないか、快楽の真っ只中にいたリディアにははっきり分からなかったが、その直後、エッジの表情はすぅっと落ち着き、汗ばんだ彼の手がしっかりとリディアの肩を掴んだかと思うと、彼女を突き上げる速度が吹っ切れたように上がった。結合部の温度が上がり、繋がっている2人の身体が揺れ動き、その振動でベッドからはギシギシと音が出る。リディアはしっかりとエッジの背中にしがみつき、彼の腰に両脚を絡めた。


「はぁぁぁぁっ、エッジ…!!」

「リディア…もうダメだ…うっ…くぁっ…!!!」

エッジの絶頂の叫びを聞いた瞬間、リディアは彼を強く強く抱きしめた―――








「はぁ…ふぅ…。」

深く呼吸するエッジは、リディアに背中をポンポンと優しく叩かれながら、繋がったまま彼女の肩に顔を埋めていた。



しばらくしてエッジが両手をリディアの両脇に付くと、顔を上げて彼女と視線を合わせた。


まっすぐエッジを見つめる翡翠色の瞳が瞬きするのに合わせ、長い睫毛が揺れ動く。それに魅入っていると、リディアの両手がそっと、うっすら汗ばんだエッジの頬を包み込む。



「はぁ…リディア…。」

エッジは何か言おうとしているが、果てたばかりでうまく思考が回らないのだろう。

「エッジ…何も言わないで。もう、何も…。」

言葉が出てこないエッジの頬を撫で、ぎゅっと自分に抱き寄せた。

リディアに抱きしめられたエッジは脱力し、彼女の胸に顔を埋め、その温もりにしばらく酔いしれた。






布団をかぶり、事後の倦怠感でエッジは片腕で自身の顔を覆っていた。リディアがそっと彼の手を握ると、それに反応してエッジは彼女の方を見た。

「リディア…すまねぇ、俺…」
「どうして謝るの?…エッジ、何も悪いことしてないじゃない。」

真面目な表情で話しかけてきたエッジを、リディアは遮った。

「違うんだ、聞いてくれ。」
「え…?」

そう言って自分の手をぎゅっと握り返すエッジ。リディアの方に身体を向け、少し身を乗り出して、彼女に語りかける。


「…俺は、お前を信じてなかったんだ。こうして結婚してるってのに、またどっか遠いとこに行っちまうんじゃないかって時々不安になってた。こないだミストに行った時もそうだった。本当は俺と暮らすよりも、ミストに帰りたいんじゃねぇかって疑っちまってたんだ。」

リディアは静かにエッジの話を聞く。

「すまねぇ、リディア。お前が俺の事をどう思おうと構わねぇ。だけど、俺はお前を失うのだけは耐えられねぇんだ。だから…だから……」

そう言って、エッジは言葉に詰まってしまった。


リディアはどうエッジに言葉をかければよいか分からなかった。こんなにも愛する男性を不安にさせていたなんて。結婚するまで自分を長い間想い続けて、自分に合わせてくれて、傷ついたこともたくさんあっただろうに、今でもまだ自分のことで苦しんでいる。


リディアとて、エッジを失いたくない。彼は今やリディアにとって、あまりにも大きく、かけがえのない存在となっているのだから。



「けどリディア…ありがとうな。お前があんな情けねぇこと言った俺を受け止めてくれるって聞いた時、すげぇホッとしたんだ…。」

「エッジ…。」


器の小さい奴だと思われたくなくて、見せなかった心の影。リディアのことが好きで好きでたまらないが故の意地。




「すまねぇ、リディア…俺が悪かった…。」

「エッジ、もう謝らないで…。」

そう言ってリディアはエッジを抱きしめた。エッジなら何かあってもどうにかしてくれる、自分に合わせてくれると都合よく甘えていたがために彼にそう思わせてしまっていたのだから。


リディアに抱きしめられたエッジは、思わず彼女にしがみつく。その行動が可愛くて、リディアは笑みをこぼしてエッジの頭を撫でてやった。


「よしよし、いい子だね。私はエッジとずっと一緒にいるから、大丈夫だよ?だからもう泣いちゃダメよ~?」


エッジは軽く苦笑した。いつも自分の腕の中にいるリディアが、今は自分を包み込んでいる。けどそれも悪くない、そう思っていると―――


「私もエッジのこと、失いたくないよ。エッジのそばにいるから、だから…もう苦しまないで…。」


リディアの言葉が、潜んでいたエッジの心の影をすっと消し去った。

「リディア、ありがとな…ありがとう…。」

どんなにカッコ悪いことをしても、自分を受け止めてくれるリディア。エッジはそう呟きながら彼女の温もりに包まれて目を閉じた。



「…またミストに行こうな?」

エッジにそう言われてどう反応すれば良いか、リディアが考えていると、彼は曇りのない笑顔でこっちを見つめた。それを見たリディアも自然に笑顔になる。

「エッジ…。」
「もう…大丈夫だ。お前は一生俺の女だもんな?」

「はい、お館様。わたくしはあなた様と一生添い遂げとうございまする。」

エブラーナ言葉でリディアが誓うと、エッジはプッと吹き出した。

「何笑ってるのよぉ。せっかく勉強して言えるようになったのに。」
「いや…まさかこの場でそんな風に言われるとは思ってなかったからよ。」

「んもう…。」

リディアが不機嫌そうに唇をへの字に結んだ。するとエッジが嬉しそうに笑った。

「本当にお前は可愛いなぁ~。満月の夜にそんな事したら、オオカミさんが食べに来るぞ~?」

「もう、バカ…。」



笑いながらしっかりと手を握り合う2人の左薬指の揃いの結婚指輪は、満月の光に照らされ、微かな光をたたえていた―――


―完―

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