2014
03.22

「ずっと一緒に」 後編

エジリディ小説、第1弾の後編です。

どうぞ最後までお付き合い下さいませ☆






「ずっと一緒に」 後編












大事なのは、自分の気持ちなのに。







「クオレは寝たか?」
「うん、エッジがいっぱい遊んでくれたおかげでぐっすり寝ちゃったわ。」
「そうか。」
「ふふ。」


ふーと大きな息をつくエッジ。


「ごめんね、疲れたでしょ?」
「うーん、さすがにな。」
エッジは苦笑した。



リディアが入れてくれたお茶を飲みながら、2人は他愛もない会話をしていた。こうして2人きりでゆっくり話すのはいつぶりだろうか。王としての仕事に明け暮れ、精神的に参ってしまう事もある。だがミストに来て、リディアの笑顔を見るとそんなものは吹き飛んでしまうのだ。



このままリディアを連れて帰りたい。






だけどこいつにはミストがある。










愛する人の大事なものを捨てさせるなんてできない――












ふと、会話が途切れた。




エッジはリディアの翡翠色の瞳をじっと見つめる。リディアもエッジの目を見つめ、にっこり微笑む。














その瞬間




エッジの中で、何かが崩れ去った。


胸が高鳴り始めた。














大事なのは、自分の気持ち。


こいつと一生一緒にいたい。




守りたい。
幸せにしたい。


リディアにはミストがあるから。


そんなのは言い訳だった。

ただ相手に拒絶されることが怖いだけだった。




…俺は、リディアが好きだ。







「なあ、リディア…。」
「ん?」



「…エブラーナに来ないか。」
「え…?」





エブラーナに行く?遊びに?それとも…





リディアの中に、色んな疑問が湧き上がる。




「遊びに来いって意味じゃねーぞ。」
「…。」

リディアの心臓がどくんどくんと鳴り響く。手足がかすかに震えだす。






恐る恐る口を開く。




「そ、それって…。」








「…俺と、結婚してほしいんだよ。」







長い長い間、何度も口にしようとしては心にしまい続けてきたエッジの言葉が、リディアの本心を縛っていたものをみるみる溶かしていった。全身が温かい気持ちに包まれる。







身分なんて、関係ない。








大切なのは、自分の心。
偽ったら、苦しいだけで、幸せはやってこない。





当たり前のことなのに、分かっているのに、見て見ぬふりをするようになっていた。





だから苦しかった。





湧き上がってくるエッジへの想いと一緒に、リディアの翡翠色の瞳から、ぽろぽろと涙が零れ始めた。





「おいおい、何で泣くんだよ?」


リディアの涙の意味が分からず、うろたえるエッジ。



「エッ…ジ!」
リディアは立ち上がり、エッジに抱き付く。



リディアを優しく抱き締め、自分の胸で泣きじゃくるリディアの柔らかな緑の髪を撫でてやる。愛する女性のぬくもりを感じ、エッジはとても満たされた気分になる。






「それで、返事は?」
「…。」


「『いいえ』だなんて言うんじゃねーぞ。」


強気な発言だが、その声には『断られたらどうしよう』っていう不安がいっぱい。ミストの復興を抱えたリディアに拒絶されてしまって、こうして会うことすらできなくなることが怖くて怖くて仕方なかったのだから。



「…もう、何言ってるのよ。」




「…ミストのことが落ち着くまで、こんなに長い間待ったんだぞ?」




震えた声で発される、エッジの想いの全てがこもったその一言に、リディアははっとする。
(そうか…私、エッジを待たせていたんだ。)




自分だけが苦しい思いをしていると思っていた。だがエッジがこの10数年の間どんな思いで自分のもとに通っていたかなんて、考えた事がなかったことに気付いたのだ。



エッジの方が、何倍も苦しい思いをしていたというのに。

「そうだね、ごめんね…。」


「リディア?」
「…いいの?」
「何が?」
「私…エッジの赤ちゃん産めないかもしれないよ。」



リディアの一言に、エッジはため息をつく。


「…お前はうちのじいやかよ?」




召喚士一族は召喚の力を保つため、血族結婚を繰り返してきた。そのせいで身体が弱い傾向にあり、不妊となる者もあった。一国の王妃が子を産めないのは大問題になりうる。





「んー…自分の子供がいらないってわけじゃねぇけどよ…世継ぎなんて、どうにでもなるさ。んなもん、王様の子供じゃないといけないんだったら、今のバロンやファブールの王はどうなるんだよ?」
「…。」



エッジはそういうことを気にする人間じゃない。養子でも何でも、能力のある者が国を治めればいい。王の実子が適任であるとは限らないのだから。古い考えに縛られていては、国は繁栄しない。エッジは王となり、色んな経験をする中で、そう思うようになっていた。現にバロンは議会制で選ばれたセシル・ローザ夫妻が国を治めているし、ファブールではヤンの人格と実力を認めた先王が彼に王位を譲っている。



「もちろん、クオレも一緒に来たらいい。」
「…うん。」



エッジはリディアの養い子であるクオレを引き取る覚悟はできていた。





これから先、思いもよらぬ不幸が待っているかもしれない。人生、何もかもうまくいくなんて、夢物語に等しい。悲しませる事もあるかもしれない。だけどリディアのことなら、全部受け入れたい。



「俺は、必ずお前を守ってやる。だから、一生一緒にいてくれよ…。」



そう言って、エッジは優しい眼差しでリディアを見つめた。翡翠色の美しい瞳が、再び涙で潤み始める。








「…はい。」
「ん?」


「エッジと…結婚します。」







その言葉を聞いた瞬間、エッジはリディアを強く強く抱き締めた。




もう絶対離さない

これからは、ずっと一緒にいられる――

「リディア…。」
「エッジ…!」

身体が蕩けてしまいそうな、熱く深い口づけを何度も交わす。息が止まるぐらいに――







「はあっ…エッジ…。」
「そんな顔したら、ここで押し倒しちまうぞ?」
「…もう、バカ…。」






エッジの唇が再びリディアのものと重なり、濃厚なキスは何度も何度も繰り返された。2人はしっかりと抱き合い、いつまでもお互いを離そうとしなかった――








*****




翌朝、結婚の約束をした2人は、一緒に朝食の準備をしていた。

「クオレ、おはよう。」
「お…はよう。」


眠い目をこすりながら、クオレは2人を見上げる。


「クオレ、今日はエッジも一緒に朝ご飯を食べるわよ。」
「うむ。」


3人で食卓を囲み、朝食を食べる。エッジはタイミングを見計らって、クオレに話しかけた。


「クオレ、リディアは俺と結婚して、エブラーナに住むことになった。クオレも来るか?エブラーナには遊んでくれる奴らがいっぱいいるぞ。」


エッジはクオレに笑いかけた。


「エブラーナへ…?」
「そうだ。俺の国だ。」
「行ってもいいぞ。」
「そうか、よかった。じゃあ今度迎えに来るから、それまでにエブラーナに来る準備しといてくれよ?」

「分かった。」




(エッジ…ありがとう。)



朝食後、エッジが帰り支度をしていると、クオレが寄ってくる。


「エッジ、帰るのか?」
「あぁ、王様の仕事があるからな。」


そう言ってエッジはクオレを抱き上げる。


リディアに帰る事を告げようとすると、寂しくてたまらないという表情でエッジを見つめていた。

「…そんな顔するなよ。帰れねーじゃねぇか。」
「だって…。」
「1か月後に迎えに来るってーの。」
「…絶対来てね?待ってるから。」
「来るに決まってるだろーが。お前こそ、気が変わったなんて言うんじゃねーぞ。」
「そんなこと、言わないよ…。」



昨夜2人で話し合い、式の日取りなどは後日決定するという事で、1か月後にリディアはクオレと共にエブラーナに行くこととなった。



「来月は俺と一緒に正式な挨拶まわりだな。」
「そうだね。」




「…じゃあ、またな。」
「気を付けてね。」






1か月後――



「エッジ様がいらっしゃったぞー!」



エッジが数名の兵を連れて飛空艇から降り、ミストに到着すると、リディアとクオレ、ミストの村人達、そして幻獣王夫妻が出迎えた。


「エッジ、皆に結婚の報告したらね、とっても喜んでもらえたのよ。」


「そ、そーか。そりゃよかった。」

満面の笑みのリディアに、エッジは思いがけずドキドキとする。



「リディア、お幸せにね。」
「時々はミストに来いよ。」


村人達が次々と祝いの言葉を贈ると、リディアは頬を紅潮させ、幸せそうに頷く。



「エッジ様、リディアとのご結婚おめでとうございます。」


長い黒髪の精悍な女性が出てきて祝いの言葉を述べた。


「エッジ、この人はこないだ話した外部から召喚魔法を習いに来ているアリッサよ。まだここに来て数か月なんだけど、すごい早さで魔法を身に付けていってるの。バロンの士官学校出身で、剣術もすごいのよ。」
「あぁ!あんたが…。」

「エッジ様、リディアがエブラーナに行った後は私もミストの皆も、力を合わせて村を守ります。なので、どうぞ安心してリディアをお連れ帰り下さいませ。」
と言って、アリッサはにっこり微笑んだ。


「そ、それはそれは…。」


リディアとそう変わらない年恰好の女性にそんなことを言われては、エッジはただただ恐縮するしかなった。


幻獣王夫妻とクオレもエッジの元へとやって来た。


「エッジ殿、わが娘をよろしく頼むぞ。」
「もちろんだ。俺の一生かけてリディアを幸せにするさ。」
「リディア、よき方と結ばれましたね。幸せになるのですよ。」
「はい、王妃様。」


エッジは幻獣王夫妻と一緒にいるクオレに笑いかけ、しゃがんで彼女の目線に合わせる。


「クオレ、準備はできてるか?いよいよ今日、エブラーナへ行くぞ。」


そう言うと、アスラが口を開く。


「エッジ殿、その件ですが…。」
「?」

「エッジ、クオレはミストに残るぞ。」

「え?残るって…。」




クオレの一言に、エッジが不思議そうな顔をしていると、アスラが説明し始めた。



「…クオレは非常に強い魔法の力を持っています。優れた召喚士となるでしょう。我々幻獣としては、このミストには一人でも多くの優秀な召喚士にいてほしい。以前のような悲劇がまた起こらないとも言い切れません。村を守り、繁栄させるためにも、クオレにはミストに残ってもらいたいのです。」


クオレも来るものだと思っていたエッジは驚いた。


「いや、アスラの言う事は分かるんだが…。リディア、お前はいいのかよ?」
「うん…、残念だけど、ミストの将来を考えたらそれが一番かなって。この村の発展は、私の望みでもあったから。それに、二度と会えなくなるわけじゃないんだし。」

「…それは、そうだけど。」


複雑な心境のエッジ。そんなエッジを尻目に、クオレの表情は変わらない。

「リディア、クオレはリディアに代わってミストを守るぞ。」
「クオレ…ありがとう。」

「エッジ、また遊びに来てくれ。」
「…あぁ、またリディアと来るさ。」

エッジはそう答える他なかった。


「さぁリディア、そろそろ行きなさい。エブラーナの迎えの方達がお待ちでしょう。」
「はい。…それでは、行ってまいります。」




アスラに促され、リディアはエッジの元へと歩み寄る。


「リディアー!元気でね!」
「気を付けてね!」


村人達がリディアに声をかける。


「ありがとう、みんなも元気でね!…エッジ、お待たせ。」
「あぁ。…じゃあ、行くか。」



エブラーナ兵達がリディアの荷物を飛空艇に運び終え、離陸の準備が整った。リディアは甲板からミストの者たちに大きく手を振った。


「みんなー!ありがとうー!またねー!」



歓声が沸き起こる中、飛空艇は空高く舞い上がり、エブラーナへと航路を取った。




「なぁリディア、本当にクオレを置いてきて良かったのかよ…?」
「うん…。だってこれからエッジがいっぱい幸せにしてくれるんでしょ?」
「…そりゃそうだ。まぁ、そこまで言うんなら大丈夫か。」

(エッジには…言わない方がいいわよね。きっと気を遣わせちゃうわ。)





エッジがあの日帰った後、リディアはミストの村人達と、幻獣王夫妻に結婚の報告をし、クオレと共にエブラーナへ行くことを告げた。すると――



「…リディア、あなたは一国の王妃となり、エッジ殿と共に生きていくとはどういう意味か、分かっているのですか?」
「え…?」


リディアはアスラの質問の意図が分からず、困惑した。



「エッジ殿は一国の王。大きなものを背負っておられる。それを支える王妃となるあなたがクオレを連れて行っては、エッジ殿の負担を増やしてしまうことになりますよ。」

「負担だなんて…!エッジはクオレも一緒に来たらいいと言ってくれてるんです!」

「それはエッジ殿があなたを好いているから、そう言ってくれているだけのこと。あなたがクオレと共にエブラーナへ行けば、エッジ殿はあなただけでなく、クオレの今後のことにまで責任をもたねばならぬのですよ?」
「…!」


「エッジ殿は今までミストに多大な支援をしていたのでしょう?これ以上彼の優しさに甘えては…」


「ならクオレをどうしろというのですか!?」

「クオレの事は、わしらが責任を持つぞい。」
幻獣王が答える。

「クオレは強い魔法の力を持っている。きっと優秀な召喚士となるでしょう。私達幻獣はもちろん、ミストの者たちも、できるだけ多くの召喚士がここにいることを望んでいるはず。クオレがここに残ることは、村を守ることにも繋がるでしょう。クオレには私達から話をします。」
「…。」


「…リディア、エッジ殿が迎えに来るまでまだ時間はあります。よく考えるのですよ。」






―――悩んだ末、リディアはエッジに今まで甘えていた分、これからは彼のために何かしたいし、負担を増やしてはいけないと思い、クオレをミストに残すことを了承したのだった。








半年後、秋晴れの空の下でエブラーナ国王夫妻の婚礼の儀が、エブラーナ城にて執り行われた。バロンからはセシル・ローザ国王夫妻、王子セオドア、赤き翼隊長カインと飛空艇技師シドが、ミストからは長老とクオレ、ダムシアンからは国王ギルバートと秘書のハル、ファブールからはヤン国王夫妻と王女アーシュラ、ミシディアからは長老、パロム・ポロム姉弟とレオノーラ、ドワーフ王国からも王と王女ルカが祝いの席に招待された。



婚礼までの間、エッジは国王の仕事に邁進し、リディアは王妃になるための教育を受けていたため、お互いに忙しかったが、夫婦となる当日の2人は幸せいっぱいだった。結婚式では仲間達が見守る中、エブラーナ王族の正装姿のエッジがこの上なく凛々しい姿で誓いの詞を述べ、その隣には、美しい色打掛を着たリディアがいた。





披露宴ではリディアが純白のウェディングドレスに着替えて登場した。ポロム、レオノーラ、ルカを始め、年ごろの未婚の娘達はその美しさにうっとりするばかりだった。


「あぁ、リディアさん、綺麗です…。」
ポロムが思わずため息をもらす。


「ホントに…。私もあんな風になりたいです。」


「あら、レオノーラはもうすぐ着れるんじゃないの?パロム次第だけど!」
「なななな、何を言うんですか!」

笑顔でレオノーラに突っかかるルカの言葉を聞いていた他の仲間たちは笑っていたが、唯一パロムだけは苦笑するのだった。


披露宴では新郎新婦の周りを仲間達が囲み、祝いの言葉と共に酒を飲み交わす。


「エッジ、リディア、おめでとう!」
「エッジさん、リディアさん、ご結婚おめでとうございます!」
「ほんと、おめでとう。それにしてもエッジ、あなたリディアと結婚するのに時間かかりすぎよ!」


セシル達バロン国王一家が言葉をかける。


「な、何だよローザ。いーじゃねえか、色々事情があったんだよ…。」


「ローザ、エッジはね、私が結婚できるようになるまで待っててくれたのよ。いっぱい辛い思いしただろうから、これからは幸せあげたいな…。」


エッジはリディアの言葉に目頭が熱くなる。


「リディア…。嬉しいこと言ってくれるじゃねーか。」


エッジはリディアを抱き寄せて口づけをした。


「おおっと!」
「わぁ!」
「まぁ!セオドア、見ちゃいけません!」


「もう~、みんな見てるのに!」
「いいじゃねーかよ、俺達夫婦なんだぜ?」


顔を真っ赤にして怒るリディアだが、エッジにはそれも可愛くて仕方が無い。

「…相変わらずだな、エブラーナのエロ王様よ。」
「だっ…カイン、うるせーよ!へっ、お前は結婚しねーのか?」
「…ほっておけ。」


赤き翼の隊長となったカインは祝いの席でもクールだった。そこへ酒が入り、上機嫌なシドが割って入る。

「エッジ、よくもまぁリディアをモノにできたのう!」
「失礼だぞジジイ。祝いの言葉ぐらい言えねーのか。」
「おおこれは失礼!エブラーナ王妃リディア様、この度はご結婚おめでとうございます。」
「ありがとう、シド。飛空艇のことで何かあったらよろしくね。」

「…ったく。」






「エッジ、リディア、結婚おめでとう。」
優しい笑顔でギルバートが2人に話しかける。


「おう、ギル!ありがとな。」
「リディア様、なんてお綺麗なのでしょう…。」
「ありがとう、ハル。ミスト支援の手配、ありがとうね。おかげでミストは復興したわ。」
「そんな…リディア様のご努力の成果ですよ。ねぇ、陛下?」
「そうだね。また何か困ったら連絡するんだよ。」
「うん、ありがとう!」






「エッジ殿、リディア。お二人のご結婚、心より祝福申し上げます。」
「エッジさん、リディアさん、今日はお招きいただき、ありがとうございます。」
「夫婦円満のコツは、いかに夫を尻に敷くかだよリディア!」


ファブール国王一家が2人を祝福する。

「ヤン、シーラさん、アーシュラ、ありがとう。」
「いやいやシーラさん、いきなりそんなアドバイスを…。」

ファブール王妃の唐突な助言にエッジは苦笑するしかなかった。


「そうだ、ヤン。…あの時は励ましてくれてありがとうな。」
「あの時?はて…。」

首を傾げるヤンに、エッジは耳打ちする。

「ほら、真月で『王が夢を見れぬようでは、民も幸せになれない』って…。」
「あぁ、そういえば!お役に立ったようで何よりですぞ。」
「ま、あんたがあの時どういう意図で言ったのかは分からんがな…。」
「いやいや、そういう意味ですとも。」

「…!」

エッジは軽くよろめいた。



「え、何?何の話?」
「わっ、リディア!なんでもねーよ!」

「とにかく、本日は誠におめでとうございます。」


ヤンは笑顔でそう言って下がっていった。



ミシディア組がエッジとリディアのもとへやってくる。


「エッジ殿、リディア殿、本日は誠におめでとうございます。」
「長老殿…お体がすぐれないのに来ていただいてありがとうございます。」
「大丈夫だって!そんな簡単に死なねぇって!」

「パロム!口を慎みなさい!エッジさん、リディアさん、ご結婚おめでとうございます。」
「ありがとうポロム。ミシディアはどう?」
「おかげさまでうまくいってます。レオノーラも色々助けてくれるので。」
「ポロムさん、私は何も…。あぁリディアさん…お綺麗です…。」

「ふふ、レオノーラにはかなわないわよ。ところでパロムとはうまくいってるの?」
「リ、リディアさんまで!やめてくださいっ!」


1人気まずそうにするパロムを見て、くっと笑うエッジ。


「まあまあリディア、まだこいつらは若いんだし、これからだって!」
エッジが弟のようなパロムに助け舟を出す。


「へっ、ありがとな、エブラーナの王様!」
(…進展あったら知らせろよ。)
(余計なお世話だっ!)


小声で交わされた密約に、気付く者はいなかったようだ。



最後にやってきたのはドワーフ王とルカ、ミストの長老とクオレだった。
「リディア、エッジ、おめでとう!」
「よう、ルカ。地底からはるばるご苦労さん。」

「あら、ファルコンがあればひとっ跳びよ!ね、父上。」
「うむ。それにしても、セシル殿ローザ殿の結婚式に劣らぬ豪華な式ですな。」

「ありがとうございます、ドワーフ王。今日は楽しんでいって下さいね。」



「リディアー!」
「クオレ!来てくれてありがとう。元気にしてる?」
「うむ、クオレの村のみんなも元気だぞ。」


母娘のような2人を見て、エッジはいささか複雑な気分になった。自分との結婚が原因で、リディアはクオレと離ればなれになってしまったともとれる状況だったからだ。


「長老、はるばる来ていただいてありがとうございます。」
「いやいや、おやめ下され。おかげさまでわしらは平和に暮らしておるのですから。そうじゃリディア、アリッサが幻獣王夫妻と召喚の契約を交わしおったぞい。」

「アリッサが!?まだミストに来てから1年も経っていないのに。あの子、すごいわね…。」

「召喚士の血を引いておらずとも、訓練次第で召喚士になれる者もおるということじゃな。これからは外部との交流も大事にせよということかもしれんのう…。」
「そうですね…。保守的な村だったけど、ミストも変わるべき時がきたのかしら。」

「リディア、ミストにはクオレもいるから大丈夫だぞ。」
「そうね。クオレも頑張るのよ。」

そう言ってリディアは微笑んだ。2人の会話を聞いていたエッジも微笑む。自分のしてきたことは、リディアのためだけにとどまらず、ミストの住人達全てを救うことにつながったのだから。




賑やかな宴が続いた後、エブラーナ王エッジの挨拶により披露宴はお開きとなった。その後も城下では、国王の結婚を祝福する国民達の歓声が絶えなかった。





出会ってから10数年の時を経て夫婦となったエッジとリディア。皆の祝福を受け、幸せいっぱいの2人の生活はまだ始まったばかり…


―完―





初のエジリディTAエンディング後のストーリー、いかがだったでしょうか?


いやぁ、それにしても書くのは大変でした。公式のストーリーに沿って書いたつもりなんですが、私なりの考察が入り混じってるし、納得いかない!という方もいらっしゃるかとは思いますが…。


第1弾を書くにあたって、どうするか迷ったのは、エッジがどうプロポーズするかという点と、クオレがエブラーナに行くか行かないかという点でした。


TAをプレイしていたら、リディアもエッジのことを大切に思っているんだなってのは感じたし、バンド技・ブロークンハートの説明が2人の関係を物語っているなぁと☆



集結編から常に2人は仲良く一緒に、自然に並んでいるから、あれはそれなりの深い関係だろうと思ったわけです。



エンディングでも、幻獣王夫妻のことでエッジにリディアが深く感謝してたし、クオレの相手をしてくれるエッジの器の大きささをリディアは感じたんだと思うんです。だから、プロポーズされても断ることはないだろうと思い、またエッジもあの後カッコ良くプロポーズしたに違いない!!と思ったわけです。


クオレがエブラーナに行くというパターンも考えたのですが、強い魔法の力をもつクオレがミストに来たのは、心置き無くリディアがミストを離れてエブラーナへ行けるように、リディアの代わりとなるためだったと解釈してます。インタールードは未プレイで、ストーリーの概要だけしか知らないのですが、偽リディアはマイナスのプロトタイプだったんですよね?しかも幻獣王夫妻がクオレを見て、リディアにそっくりだと言うあたり、かつて彼らが幻界でリディアを育てたように、クオレを育てるのもありなんじゃないかと。

以上、自分の作品を正当化する理由ばかり述べてしまいましたが、今後も新しいストーリーをUPするつもりですので、皆様どうぞよろしくお願いいたします。



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