2014
07.20

「微睡む」

ちょっと涼しくなったなぁと思いながらうたた寝していたら浮かんできたラブラブエジリディSSです♪短編ですよ~。







「微睡む」









ある日の昼下がり―――




「エッジ、入るわよ。」


別室で仕事をしていたリディアが、夫のいる執務室のドアをノックした。

(あれ…?)

返事がない。

「エッジ…?」

執務室に入ってみたが、いつも彼が座っている椅子にはその姿がない。

(おかしいな…どこ行ったのかしら?)


空いている執務室の窓からさわさわと心地良い風が舞い込んでくるのに誘われ、ふとそちらを見ると…


「あら、エッジ…。」


昼間の暖かな日差しが差し込む窓のそばにある大きなソファーの上で、すやすやと眠るエッジ。


(最近ずっと遅かったもんね…。)


ここ最近は深夜まで仕事をしていた上に、朝リディアが目を覚ました時は早朝の稽古ですでにエッジの姿はベッドにないという状態が続いていた。

夫が寝ている姿をあまり見ることがないリディアは、彼がこうして気持ち良さそうに眠っているのを見ると、とてもホッとする。国王として、そして忍びの一族の長として多忙な生活。今日のように急ぎの仕事が少ない穏やかな日ぐらいは休息して欲しい、そう思うリディアはエッジの寝顔を見て心が安らぐような気がした。


起こさないように、エッジが眠っているソファーにそっと座るリディア。




ゆっくりと、ゆったりとしたエッジの寝息。


こみ上げてくる愛おしさで、エッジの頬を優しく撫でる。


「ん…。」


何やらムニャムニャと言っているようなそうでないような口の動きに、リディアは思わず笑みをこぼす。


頬を撫でていた手で髪を撫でてやると、心なしか眠っているエッジの口元が緩んだ気がした。

(ふふふ…気持ちいいのかな?)


彼の呼吸に合わせ、ゆったりと髪を撫でるリディア。少し硬めの銀髪は時折リディアの指にちくりとするが、それすら愛おしく感じてしまい、頬にちゅっとキスをした。


(エッジ、寒くないかな…?)


髪を撫でるのをやめ、確か近くに毛布などの仮眠グッズが入った戸棚があったはずだと思ったリディアが立ち上がろうとすると―――


「!?」


急に腕を掴まれ、驚いて振り向くと目の前にはニヤニヤとするエッジの顔。


「どこ行くんだよ?」


エッジは眠そうに、口を閉じたまま大きく息を吐く。

「エッジ…起きてたの?」
「んー、まぁな。」


せっかく眠っていたのに起こしてしまったと申し訳なく思っていると、エッジの大きな手がリディアの細い背中に回された。

「きゃ…!」

エッジの身体に覆い被さる形で抱きしめられ、反射的に高く甘い声が出てしまう。

「へへ…さぁこれでもう逃げられねぇぞ?」
「やだぁ…離してぇ。」

毛布を取りに行こうとしていたリディアは身体をくねらせ、夫の腕の中から抜け出そうとするが、しっかりと抱かれてしまい、もぞもぞと動くしかできない。


「そこにある毛布取りに行くから離してぇ…。エッジ風邪引いちゃうよ。」
「そんなのいらねぇって。」
「?」


掌でリディアの色白の頬を滑るように撫で、エッジが優しい表情で笑いかける。

「こんなにいい掛け布団があるのに、毛布なんか必要ねぇよ。」

ぐいっとエッジの顔の位置まで引き寄せられたリディア。背中を優しく撫でられ、美しい翡翠色の瞳がエッジの深い色の瞳と向かい合っていると、エッジの唇がリディアの唇を柔らかく塞いだ。


「さっきのお礼だぜ?」
「…やだぁ。」


寝ていると思ったからキスをしたのに実は起きていたなんて、リディアは恥ずかしくて頬を赤らめた。


「んだよ、自分からしたくせに。」
「…。」


笑いながら発された言葉にリディアはますます恥ずかしくなり、横たわったままのエッジの肩に顔を埋める。その反応が可愛くて、エッジの手は彼女の髪を優しく撫でた。美しい花のような香りがエッジの鼻から脳へと伝わり、そのまま一面に広がる花園へと旅立てそうな気分になった。


香りをしばし堪能した後、エッジがリディアの長い緑の髪を耳にかけ、首の角度を変えて舌でペロリと耳朶の辺りを舐めると、くすぐったさに華奢な身体はピクンと反応した。

「もう~!」
「そんな牛みたいなこと言うなって。」
「!バカ!」

またしてもからかわれて、顔を上げてエッジを罵倒するが、彼は嬉しそうにニコニコするばかり。

(もう…結局こうしてエッジのペースになっちゃう。)


夫の笑顔を前になす術がないリディアが再び顔を彼の肩に埋めると、エッジの温かい手が彼女の背中や腰をゆったりと撫で始めた。


「ん~、すげぇあったかくて気持ちいい掛け布団だな~。」

嬉しそうな声でそう言いながら、リディアのこめかみ辺りにふんわりと柔らかいキスを浴びせるエッジ。慈しむようなその優しさは、リディアの気持ちを落ち着けてゆく。


ぴったりとくっついたエッジの身体から伝わってくる体温と、背中と腰を緩やかに撫でられる心地良さに、リディアの意識は次第にふわふわと温かい場所を漂い始めた。

「エッジ…あったかいよ。」
「いい敷布団だろ?」

エッジの喩えに思わずクスリと笑ったリディア。こうしていると、身体を離すと何処かへ消えていってしまいそうな、とても温かくて大切なものが、彼と自分の間に存在しているような気がしてくる。そんなリディアの心に浮かんだ思いは―――





もう、離れたくない











*****





「おい、何でそんなとこに突っ立ってるんだ?」
「あぁ、いや…その…お館様に回覧済みの通達を返却しに来たんだが…。」
「???」


執務室の前で立ち往生している家臣に声をかけた見張りの兵士がそっと執務室の中を覗くと…



「あぁ…そうか。別に後で渡せばいいんじゃないのか?」
「そうだな、急ぎじゃないし…。」









執務室の窓辺で、互いの体温を感じながら微睡む2人が目を覚ましたのは、夜の帳が下りた頃のこと…。

―完―
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